豊かな自然で育まれる、深い心の絆
熊本の美しい風景を描くために、数年をかけて各地をロケハン
時を超えて伝わる、親子の絆、人と人との絆
昨今、地球上の大気のバランスが崩れ、温暖化が進み、自然が破壊されていく一方で、「人間の心」という形のないものにも内面的な崩壊が進んでいるのではないかという危機感を覚えます。
そのような時代の中、風土を大事にしたこのような普遍的な作品も何とか企画化をし、生み出していくことが必要ではないかと痛切に感じ、製作に臨んでおります。多くの皆様からのご支援を、心から願ってやみません。
故・木下恵介監督の意志を受け継いだ、新進気鋭の監督
日本には、二人の天才と並び称された故木下恵介監督と故黒澤明監督がいらっしゃいますが、そのお一人の故木下恵介監督が生前に映画化を試みていらしたのが、この原作『母しゃんの子守唄』でした。残念ながら木下監督は志し半ばでご他界をされ、その映画化は幻となるところを立ち上がったのが新進気鋭の監督、山田 武です。
木下監督への敬意と熊本という素晴らしいロケーションへの愛情を持って、日本の商業映画界において企画化が難しいとされてきたこの作品を、脚本を一から練り上げ、1925年からの数十年間に渡る母と子の愛情やその隣人の人々との交流を情緒豊かに仕上げました。
きのした けいすけ
1912年静岡県浜松市出身。33年に松竹に入社、43年に『花咲く港』で監督デビュー。戦後次々秀作を発表し、黒澤明監督とともに、日本映画をけん引した。庶民や女性に焦点を当てた叙情豊かな中に、社会性を織り込んだ作風が特徴。代表作は、日本初の長編カラ―『カルメン故郷に帰る』や、女性教師と子供たちとの触れ合いを通じて平和をうたい上げた『二十四の瞳』など。49作目となる『父』(88年)が遺作となった。(2007年1月4日の東京新聞より)